スポーツニュースで感じる違和感
スポーツ選手を追ったドキュメンタリーやニュース番組の報道をみていると、
「えっ、それは違うでしょ。」と思うことがしばしばあります。
その1つがベテラン選手のウォームアップについて。
過去、その競技のトップにまでのぼり詰めた選手の、キャリアの終盤を追った報道、よくありますね。ほぼ間違いなく、その選手は他のチームメイトの誰よりも先に会場に入ってウォームアップをはじめます。そしてニュースでは、ベテラン選手の、その競技に打ち込む真摯な姿勢を取り上げるのですが、これは正しくありません。
ベテラン選手が真摯に競技に取り組んでいるのは間違いありませんが、一番先に会場入りするのは、そうしなければベストパフォーマンスを発揮できないからです。キャリアの長い年長の選手は、他の若い選手よりもウォームアップに時間がかかるのです。
キャリアが長くなると、複数のケガを抱えている可能性が高く、その影響を受けている筋肉のハリや可動域の低下を解消してからでないと、全力でプレーできません。また加齢にともない、全身の柔軟性や環境に適応する能力も低下します。若くケガのない頃とは違い、プレーまでに準備しなければならないことが格段に増えるのです。同様に試合後も、次の試合までにおこなう身体のケアにかかる時間も増えます。
逆に若い選手であればウォームアップの時間は短くて済みます。夏の10代の選手なら、ほとんど不要な場合もあるくらいです。これらの取り組みは、選手ごとに違っていいし、それは競技に対する姿勢とは無関係なものです。
ただ、私は若い選手たちの合同練習でウォームアップやウォームダウンをやり続けるのは、意味のあることだと思っています。ごく短い若い時期には余りプレーに影響することのないこれらの取り組みも、キャリアを重ねるなかで、必ず必要になる日がやってきます。ケガや故障も抱えれば、若いときから必要になります。そのときのために、日常から自分の身体の状態を確認することを習慣化しておくのです。
日本のスポーツ選手をめぐる報道には、どうも選手を必要以上に美化する傾向、また視聴者を感動させようと「お涙頂戴の演出」が多いように感じています。
(松下 輝)
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