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変形性股関節症

2023.09.17

「変形性股関節症」は、股関節の構成する骨の表面にある軟骨が、傷つき消耗することでおこる病気です。進行すると骨の変形が進み動かせる範囲が狭まったり、股関節を動かそうとすると激痛がともなったりします。この病気の厄介なところは、いったん症状を発症すると、徐々にであっても確実に症状が悪化していく、進行性の病気であること。最終的には人工関節が必要になることも多く、生活の質に大きく影響する病気といえます。

主治医の許可を得ることが条件ですが、変形性股関節症の方には、いくつかのエクササイズを定期的におこなうことをお勧めしています。将来的に人工関節の手術をおこなうか否かに関わらず、全身、特に殿筋から下肢の筋力を維持、強化することが、この病気を持っている方の生活の質を維持することにつながると考えているからです。

私がこれまで担当した「変形性股関節症」の既往をお持ちのクライアントへの運動指導の経験をもとに、この病気を発症した人にお勧めしたい運動について紹介していこうと思います。

変形性股関節症を発症すると、多くの人が、痛みと軟骨の消耗を防ごうとするあまり、身体を動かすことを避けるようになってしまいますが、これには注意しなければならない落とし穴があります。

股関節の軟骨も、膝の軟骨と同様、血管がありませんので、運動などの刺激がないと軟骨に十分な酸素や栄養が届けられません。安静は軟骨の消耗は防げますが、軟骨への酸素や栄養素の供給という面ではマイナスなのです。

そこで関節には負担を掛けずに、関節を動かすことが必要になります。

そこでおすすめしたいエクササイズが

「ジグリング」です。

 

やり方は簡単。イスなどに座った姿勢で、いわゆる「貧乏ゆすり」をするように、片足ずつ小刻みに股関節を動かします。

ジグリング

「貧乏ゆすり」のように、小刻みに揺らします。

ジグリング

この運動の目的は負荷を掛けずに股関節や周辺の筋肉を動かすことにあります。そうかといって、大きな負荷がかかる運動をしてしまうと、負荷のかかった股関節が炎症をおこしたり、股関節の変形を進めてしまう可能性があります。負荷を掛けずに動かすジグリングは、変形性股関節症の進行の度合いを問わず、全ての人におすすめできる運動です。軽い運動なので、テレビや読書など、何かしながら、気軽におこなってもよいでしょう。ただし最初は片足ずつおこなった方が賢明です。やってみるとわかりますが、両足でやるのは意外に難しく、つい力んでしまって動きがぎごちなくなりがちです。片足で意識せず滑らかに動作ができるようになったら両足にチャレンジしてもよいでしょう。左右の症状に差がある場合は、かならず片足ずつおこないます。

また股関節に痛みがあると、その足を使うことを避けてしまうので、下肢の筋力が著しく低下してしまいます。その後、病気の進行とともに、人工関節をいれたとき、手術で痛みは取れても、使わず衰えてしまった脚の筋力の回復は容易ではなく、手術後も思うように動けない方と何人もお会いしてきました。

ジグリングの次は、特に「おしりの筋肉」「大腿の前の筋肉」の強化重要です。まだ痛みなく動くのであれば「内転筋を強化する」ことも大切です。

ここでは通常のレジスタンストレーニング、いわゆる「筋トレ」をおこなうわけですが、おすすめするエクササイズやトレーニング方法は、クライアントの股関節の状態、痛みの状況によって変わります。痛みをなるべく避けながら強化することが原則ですが、症状には個人差がかなりあるので、個別の対応が必要です。ある人には有効なエクササイズが、別の人には効果がないどころか、むしろ病状を進行させていく可能性もあるからです。

というわけで、ここで変形性股関節症の方に有効な筋トレのエクササイズを、シンプルに「これ」と紹介することは難しいです。私のパーソナルトレーニングでは、その方に病状、体格、体質にあったリコンディショニング・プログラムを作成し提供しています。

この病気は、さまざまな病態があり、また進行によって痛みや可動域の制限も状況がまちまちです。ただ、手術を受ける受けないにかかわらず、下半身の筋力をできるだけ維持することが、その後のQOL(生活の質)の向上につながることは確かですので、予防、治療、リハビリ、あらゆる段階で筋力の維持、向上を目指していくことが大切です。